兄とその妹

「リメイクは観ているが、オリジナルを観るのは初めてや。小学校低学年の頃の映画やもん」
「私が生まれて間もなくの頃だわ」
「この年、学校に持っていく弁当は麦入りご飯となっていた、毎日昼食前に先生がアルマイト弁当箱の蓋を開けて確認したよ」
「映画の食事はなんと贅沢」
「東京の上流家庭はあんなんやったんかなぁ」
「玄関扉の呼び鈴が懐かしいなぁ」「黒縁の厚い掛け布団も…」
「雨戸も懐かしいわ」「兄の靴を磨く妹も佳いわ~」
「毎朝出勤簿に捺印か」「給仕という呼び名には昔を実感する」「私用電話や私用会話の黙認はどうかと思うけど」
「タイプライターは体験したけど」「12時のサイレンも知ってるわ」
「柱時計の針もよく調整したよ」「帰社後は和服に着替えたな」「帽子マントは親父の世代で終わったけど」
「奉公に行きたいって言葉も…」
「うわ~、なんといったらいいのか。産めよ増やせよ国のため。子供でもよく聞いたもん」
「女子同窓会での歌も、軍馬の歌」
「覚えてるその歌」
「アドバルンが揚がってる~」
「♪空にゃ今日もアドバルン~、さぞかし会社じゃ今頃は~って歌流行ったなぁ」
「ハタキ掛けもようしたわ」「鉄瓶の湯もなつかしいツ!」
「佐分利信の辞表叩き付けに拍手!オレもやりかけたもんなぁ」
坦々として進んだ後、素晴らしい盛り上がりの中で、映画は終わる。
「妹思いの兄やった」
「妹と兄嫁の仲の良さ。ちゃんと生活費は受け渡しして~」
「三宅邦子が言う『女にとって一生の問題ですもの』という台詞が素敵や」
「昔はほんまに人情が豊かやったわ」
「後味の佳い爽やかな映画やった」
一緒に観ながら自然に交わした夫婦の会話でした。
【私の評価】佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1939年(2012/1/19TV録画観賞=初見).日(松竹)[監督]島津保次郎[撮影]生方敏夫 [主な出演者★=好演☆=印象]佐分利信。★桑野通子。上原謙。☆三宅邦子。笠智衆[上映時間]1時間44分。