暖流

岸田國士原作のオリジナルは戦前(1939年)に映画化された。水戸光子の名声高いが未見である。リメイクを撮った増村保造作品は、この年(1957)に①「くちづけ」翌1958年に②「氷壁」と③「巨人と玩具」を見ている。③は「テンポの鈍い日本映画界に新風を巻き起こす革命児だ」と鑑賞記にある。
そういえば「暖流」に於ける看護婦仲間(現在は看護師と呼ぶべきだが)の台詞も速い。そんな中で、左幸子は一際目立った存在。機会があればオリジナルの水戸光子と比較してみたい。1950年代当時大映スターの一翼を担っていた根上淳も悪くはない。
増村監督は当時、野添ひとみと川口浩の精力的な起用(①と③も起用)は、偏重の感あり。一方、成瀬巳喜男監督や今井正監督の作風を批判。性格が激しい印象があった。夭逝されたが、③以外は注目作が見当たらない。この作品も、リメイクの意義は、さほど感じられなかった。
、

↑オリジナルは、戦雲急な時代(翌々1941年に太平洋戦争勃発)に平和だった時代の名残りを留める名作だったと洩れ聞く。機会があれば見たいものである。
【私の評価】準佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→③。
1957年(2012/3/30TV録画観賞=初見).日(大映)[監督]増村保造[撮影]村井博[音楽]塚原哲夫[主な出演者★=好演☆=印象]☆根上淳。☆左幸子。野添ひとみ。小川虎之助。船越英二。[上映時間]1時間34分。