真実一路
1954年公開[監督]川島雄三[出演][監督]川島雄三[出演]山村聡。淡島千景。桂木洋子。水村国臣。須賀不二男。多々良純。佐田啓二(他)

本年2月入院中に放映していた。見られなかった。白内障手術だったから。入院前に予約録画して置いた事を思い出す。観たのは「姉妹」より前だけど、レビューは後になってしまう。筆が進まなかったので。
その要因は主人公の生き方に拘りがあったこと。実際に、むつ子の人生を如何に考えるか?。難しい課題を突きつけた作品だと思う。
子供よりも、惚れた男への、死をも厭わぬ愛。飽くまでも自分の気持ちに正直。妥協や我慢はノー。それも崇高な生き方かもしれない。
有名な山本有三の原作は未読。極論かもしれぬが、原作と映画は別個のもの。その前提で、真実一路の人生を辿った?と思うむつ子と、彼女を取り巻く人々について少々考えてみた。
むつ子に同情を寄せる方も少なくないと推察したりする。が、彼女を取り巻く人々の方に、寧ろ私の眼は行った。
先ず、なかなか、むつ子を「おばさん」としか呼ばなかった義夫。呼ばなかったというよりも、呼べなかったのだ。今迄自分を捨てていた母。そう易々と「おかあさん」と呼べる筈が無い。これは極めて自然であり、当然である。
そんな美夫が「おかあさん」と初めて呼ぶ時の感動は瑞々しく映る。それなのに、再び母に捨てられる美夫に、単なる同情を通り越した感情が渦巻いた。
どちらかと言えば私は、美夫の目線で鑑賞していたかもしれない。むつ子の死後、運動会での美夫が愛おしかった。
真実一路が虚偽一路?か。どちらの生き方を選ぶべきか。ハムレットのTo be or not to be?が一塵の疾風となって過ぎ去る。
難しい判断である。言い難いが、此処は義平に共振したい。現実に私の周囲は、義平流の生き方派が圧倒的だから言う訳でもないけれども。
美夫とは異父姉のしず子の心境と行動は理解出来るが、彼女に、有名な北原白秋の詩を呟く叔父の素香は、八方美人風。扮する多々良純。この難しい役柄を無難にこなしている。
この二人の、ラストのワンシーン、ワンカット。余韻を残すが、同じようなラストシーンで著名な「第三の男」が、この2年前に公開されている。

本年2月入院中に放映していた。見られなかった。白内障手術だったから。入院前に予約録画して置いた事を思い出す。観たのは「姉妹」より前だけど、レビューは後になってしまう。筆が進まなかったので。
その要因は主人公の生き方に拘りがあったこと。実際に、むつ子の人生を如何に考えるか?。難しい課題を突きつけた作品だと思う。
子供よりも、惚れた男への、死をも厭わぬ愛。飽くまでも自分の気持ちに正直。妥協や我慢はノー。それも崇高な生き方かもしれない。
有名な山本有三の原作は未読。極論かもしれぬが、原作と映画は別個のもの。その前提で、真実一路の人生を辿った?と思うむつ子と、彼女を取り巻く人々について少々考えてみた。
むつ子に同情を寄せる方も少なくないと推察したりする。が、彼女を取り巻く人々の方に、寧ろ私の眼は行った。
先ず、なかなか、むつ子を「おばさん」としか呼ばなかった義夫。呼ばなかったというよりも、呼べなかったのだ。今迄自分を捨てていた母。そう易々と「おかあさん」と呼べる筈が無い。これは極めて自然であり、当然である。
そんな美夫が「おかあさん」と初めて呼ぶ時の感動は瑞々しく映る。それなのに、再び母に捨てられる美夫に、単なる同情を通り越した感情が渦巻いた。
どちらかと言えば私は、美夫の目線で鑑賞していたかもしれない。むつ子の死後、運動会での美夫が愛おしかった。
真実一路が虚偽一路?か。どちらの生き方を選ぶべきか。ハムレットのTo be or not to be?が一塵の疾風となって過ぎ去る。
難しい判断である。言い難いが、此処は義平に共振したい。現実に私の周囲は、義平流の生き方派が圧倒的だから言う訳でもないけれども。
美夫とは異父姉のしず子の心境と行動は理解出来るが、彼女に、有名な北原白秋の詩を呟く叔父の素香は、八方美人風。扮する多々良純。この難しい役柄を無難にこなしている。
この二人の、ラストのワンシーン、ワンカット。余韻を残すが、同じようなラストシーンで著名な「第三の男」が、この2年前に公開されている。