BOX 袴田事件 命とは

著名な袴田事件を扱っている。多少の脚色はあっても、真実に近いだろう。当初はモノクロで可成りテンポは早い。一転、裁判に入りカラーになる手法は鮮やかである。

「雛菊の別名は延命菊」という台詞がずっしりと重い。
幾たびか現れる海辺の砂山が空しい。
「新しいお父さんが欲しい」と叫ぶ熊本裁判官の娘らが愛おしい。
職を辞す熊本判事の勇断に、魂が燃え盛る想いが走る。
このようなドラマ的描写を織り込みつつ、ストーリーは展開するが、主体は、あくまでも裁判。
法廷映画は、優れた作品が実に多いが、この映画も事実に基づく丁寧な描写を折り重ねつつ、滑らかに進行させている。
2005年は、プラス思考に徹した「火火」。2008年には、重厚な「禅 ZEN」を撮った高橋伴明監督。
今回は、「人を裁くことは、同時に、自分も裁かれること」という素晴らしい言葉を、熊本裁判官を演じる萩原聖人の口から発せさせて、今なお現実に世に問うている事件を締め括る。
最後に、「あなたは○?」「それとも×?」として、裁判員制度の重要性を喚起して終えるが、色々と考えさせられる映画である。
【私の評価】可成りの意欲ある佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
2010年(2011/9/10TV録画観賞=初見)日.[監督]高橋伴明[撮影]林淳一郎[音楽]林祐介[主な出演者☆=印象]☆萩原聖人。☆新井浩文。葉月里緒奈。村野武範。保阪尚希。中村優子。吉村実子。石橋凌[上映時間]1時間57分。
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