孤高のメス

看護師、中村浪子の目線で眺めた[さざなみ市民病院]の出来事は、坦々と進む中にも、ドラマティックに展開されてゆく。クライマックスは無論のこと、生体肝移植。法的に認められていなかった時代が背景となっているだけに、迫真力は助長されている。

当麻医師(堤真一)に対する浪子の想いや、心理状態の変遷が、扮する夏川結衣の内面的な好演も手伝い、この作品の中核を形成させているのは秀逸。
起承転結も鮮やかで、且つ、主役級二人のハッピー・エンドとしなかったのが、俗っぽさに陥ることを拒否している。ラスト近くには、不覚にも疲れている眼を麗すかの如く、一滴の透明な液体が湧いて滲んだ。
後味良好。爽やかな佳品である。が、全体として眺めた場合、残念ながら、「白い巨塔」には及ばない。
【私の評価】可成りの意欲を感じる佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
2010年(2011/9/20TV録画観賞=初見).日(東映)[監督]成島出[撮影]藤澤順一[音楽]安川午朗[主な出演者★=好演☆=印象]堤真一。★夏川結衣。成宮寛貴。生瀬勝久。平田満。柄本明。中越典子。☆余貴美子[上映時間]2時間00分。
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