シュリ

以下、韓国を南。北朝鮮を北と称する。北は南に言う。「チーズとハンバーグを食べてる南に、北は判らない」と。
一瞬、拉致問題が脳裏を掠めたが、この作品のテーマとは別問題。
上述の台詞は、痛烈な表現である。同一民族でありながら、国土を南北に分割された悲哀はある程度醸し出されていた。
ある程度と表現した理由は、2003年6月9日に劇場鑑賞した「二重スパイ」(以下、前者と称する)には及ばないからであるが。
その及ばぬ理由を端的に表現するとこうなる。前者では、北に所属しつつも韓国旗を打ち振ったハン・ソッキュが、今度はアクション・スターとして大活躍。
正にこれは、CTXを巡る一大アクション映画の要素が、南北統一への悲願を上回っている。
その一例を、具体的に挙げる。統一悲願を盛り上げねばならぬ絶好のシークェンスが南北親善サッカー場であることは論を待たない。
それが、アクションの場となって終っているのだ。そこには、南北のサッカー選手が、握手を交わす場面の欠片さえ無いのである。
それにしても、まぁ、よくもこれまで、乱射と血生臭い場面を盛ったものだ。そこに華を添えるのは、R15擬きの悲恋ドラマと来る。思わせぶりに頻繁に登場する金魚の水槽。これもマクガフィン擬きで大した小道具でもない。
未だに統一されない南北の民族。その悲哀と宿命と統一ヘの願望は痛切に理解出来るが、その比重を内容的にもっと高めて欲しかったと思うや切なり。
【私の評価】中の下。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→④。
1999年(2000年公開)(2011/10/3TV録画観賞=初見).韓国[監督]カン・シェギュ[撮影]キム・ソンボク[音楽]イ・ドンジュン[主な出演者★=好演☆=印象]。ハン・ソッキュ。キム・ユンジン。チェ・ミンシク。ソン・ガンホ[原題]SWIRI[上映時間]2時間4分。
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