質屋

「十二人の怒れる男」のシドニー・ルメット監督が、その5年後に、こんな作品を撮って居たのか……。
「10$貸して」と懇願する客に「2$」と言い放つ質屋のソル。「お金は命さえ買える」と嘯く。
そういう信念を持つに至る背景描写が秀逸だ。
①ナチに犯される彼の妻。
②眼前でそれを見る彼。
上述した僅か数秒の2ショットで表現されているのだ。
③妻はその後殺されたと分かるが、その描写は無い。だが、観ている内に雰囲気で判る。
④また、彼が強制収容所を出る事が出来た説明描写もない。だが「お金は命さえ買える」の台詞から想像できる。
画像表現なしで、そのことを分からせる演出の冴え!。
⑤ただ、彼の子供も強制収容所で殺されたことだけは、描写が無いので分からぬ。
このような手法は鮮やか。その冴えはラストまで続く。
こんなソルが、「10$貸して」と懇願する客に「50$貸そう」に豹変する。
人生はお金ではなかったのだ。
【私の評価】秀作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1964年(68公開)(2011/12/16観賞=初見).米[監督]シドニー・ルメット[撮影]ポリス・カフスマン[音楽]キインシー・ジョーンズ[主な出演者★=好演☆=印象]★ロッド・スタイガー。ハイメイ・サンチェス。ブロック・ピーターズ。ジェラルディン・フィッッジェラルド[原題]THE PAWNBROKER[上映時間]1時間56分。
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