新・男はつらいよ

寅さんシリーズの中で、第3作と此の第4作だけが山田洋次監督ではない。此の年に「家族」を撮っている山田監督。この年に開かれた大阪万博も舞台になった。ハードだったと推測する。
といった事で、やはり作りが違う。でも特に悪くもない。
「オラしらねえよ」が連発気味のおいちゃん。寅さんとの掛け合いが面白い。そんなおいちゃん夫婦をハワイ旅行に招待しようとした寅さん。夢儚く破れ、泥棒が入り、隠れ家が判り、例によって家を出る寅さんだった。
当時大流行した“だっこちゃん”が懐かしいなぁ。同じく大流行したのが女性のミニスカート。保育園で働く春子先生。扮する栗原小巻がよく似合う。
似合うと言えば、寅さんの帽子に挟んだ切符姿も。
御前さまが寅さんの父を供養しようと仏壇を開いた途端に飛び出した鼠には吃驚。
"♪白鳥の湖"が流れる。春子を慰めようとボートに誘う寅さん。心根の優しさが充満して佳良なシーンだ。
当時レコード大賞に輝いた佐原直美の"♪世界は二人のために"が響く。春子に振られた寅さんの寂しそうな顔が堪らないツ!。巧いッ!。
当時まだ健在だったSLの煙。名残を惜しむような汽笛と共に第4作は終わる。
無難に纏まってはいる。が心時めくような何物かが欲しい。例えば春子と彼氏のプロセス描写など不足している。
寅さん映画独特の旅情味も乏しい。舞台が主に葛飾柴又だから、此もやむを得ないか。
可も無し不可も無しといったところ。
【私の評価】中の中。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→③。
1970年(2012/1/28TV録画観賞=再見).日(松竹)[監督]小林俊一[撮影]高羽哲夫[音楽]山本直純[主な出演者★=好演☆=印象]★渥美清。栗原小巻。☆森川信。三崎千恵子。前田吟。倍賞千恵子。笠智衆。財津一郎。佐藤蛾次郎。太宰久雄[上映時間]1時間32分。
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