男はつらいよ 奮闘編

このシリーズを今迄観て来て気づいた事柄が幾つか在る。一点目は、総てが映画の標準時間とでも言うべき1時間半にほぼ納まって居る事だ。7本とも総て±3分以内に納まっている。これがこのシリーズを快く観られて居る一つの要素とも考えられる。一定のリズム感があるのだ。此が心地よい。
次は、シリーズものとしての特徴を編み出す為の工夫が垣間見られる事。具体的には、過去の人物がその折々に顔を出す。今回は、第2話に登場したミヤコ蝶々が。次回は、第1回に登場した志村喬が顔を出す筈。ほかにも光本幸子や佐藤オリエなどのカメオ出演第も垣間見られる。興味を倍加させるようなこのアイデアは、第1話から順番に観ていてこそ発見した副産物だ。
3点目。前田吟が倍賞千恵子に惚れ、結婚し、生まれた満男が成長していく過程が活き活きと描かれていること。ドラマに連続性が生まれ、活性化し、実に楽しい。マンネリ化防止にも役立っているとも言えないだろうか。
さてこの第7作。前半は、寅さんと母親との愛と恩讐。第2作のラストでは、雪解けのように和解したように写った筈。なのに未だに仲違いして居る描写で始まるのには違和感を覚えた。後味佳く終わるのが救いだったけど。
後半は、少し知能が標準的でない少女、花子との慕情。寅さん自身も、常においちゃんに「何せバカなんだから」と言われる人物だけに、妙にそりが合うプロセス描写が秀逸。
いろいろあって、福田先生と津軽に戻る花子。単身津軽に赴くさくらと、寅さんの兄妹愛には、ジンと来る。白雪被る津軽の山並みに、沈む夕日の美しさにも増して…。
【私の評価】佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1971年(2012/2/TV録画観賞=再見).日(松竹)[監督]山田洋次[撮影]高羽哲夫[音楽]山本直純[主な出演者★=好演☆=印象]★渥美清。★榊原るみ。田中邦衛。ミヤコ蝶々。★倍賞千恵子。前田吟。森川信。三崎千恵子。太宰久雄。笠智衆。佐藤蛾次郎[上映時間]1時間32分。
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