男はつらいよ 私の寅さん

とらやの一族が旅する前夜に折悪しく帰ってきた寅さんだった。旅立ちを隠そうとしたのが寅さんの怒りを買うシークェンスは傑作。みんなの「なんだか悪いから」という気持ちはよく分かるのだけど…。
留守番役がいつもの逆になるところが意を得て妙。ご前様の「よかった、よかった」が、ナイス台詞。
別府温泉。高崎山。行った所なので懐かしい風景だ。旅が無事に終わる。タコ社長への土産が、タコだったのには噴き出してしまった。
ここで寅さんの悪友、出臍が登場。彼の妹、キリギリスとのエピソードが後半の見所になる。作成中の絵を寅さんに汚されて大喧嘩する二人だったが…。
「寅さんは私のパトロン」に変わり、シューベルトの「鱒」が軽快に木霊する。相互に見舞いする仲で、シューベルトの「鱒」は、ショパンの「別れの曲」に…。
画家にはクラシック音楽がよく似合う。
ラスト“出版関係?!の職業”に精出す寅さん。傍らの非売品の肖像画は、キリギリスこと、りつ子が描いた絵に違いない。
りつ子に扮する岸惠子。私と同い年。私が社会人ほやほやの安月給取りだった頃、彼女は「ハワイの夜」で鶴田浩二と水着姿で抱擁する看板スターだった。この落差!(笑)。
「私の寅さん」の観客動員数も250万人に迫る盛況だった。イヴ・シャンピ監督との離婚はこの映画の2年程後。やはり故国の魅力は捨て切れなかったのだろうか?。
【私の評価】佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1973年(2012/2/16TV録画観賞=再見).日(松竹)[監督]山田洋次[撮影]高羽哲夫[音楽]山本直純[主な出演者★=好演☆=印象]☆渥美清。☆岸恵子。前田武彦。津川雅彦。倍賞千恵子。前田吟。松村達雄。三崎千恵子。太宰久雄。☆笠智衆。佐藤蛾次郎[上映時間]1時間47分。
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