男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花

晩春の雨煙る今日、沖縄復帰40年。新聞は特集で報ず。好天の昨日は家庭菜園へ。豌豆を初収穫した。夕餉は豌豆飯。今も昔も変わらぬ旬の味だった。
その点、映画は昔と今では味(価値観)が豹変している。でも、寅さんシリーズは一貫して同じ味だ。
昨日はゴーヤの苗も延びてきたので支柱を立てた。ゴーヤといえば沖縄。揺れ続ける基地問題。NHKでも昨夜から話題に採り上げているが、5/10の購読紙は特に、沖縄の方々が本土の人々に抱く感情を中心に特筆していた。
このシリーズ第25作でも、寅さんが同じような発言を受ける場面がある。それは高所恐怖症を克服してリリーの見舞いに駆けつけた寅さんが、ついうっかりしてお世話になっている高志に吐いた言葉が発端だった。
折りから海洋博が開催中だった。「そんなこと言うなら沖縄に来てくれるな」。それは新聞と同じ意味合いの内容だった。観光気分で沖縄に旅してはいけない。と。何時もそう思っているつもりだが、改めてそう思う。

高志に素直に詫びた寅さんが、「一目会いたい」というリリーの言葉に、居ても立っても居られず赴いた沖縄だった。南国の太陽を燦々と浴びるハイビスカスの花が、青い海に溶け込むよう。
そんな二人を取り巻く空気は、夫婦そっくり。リリーの体を気遣う寅さんに、夫婦の感情に似たものを感じるリリー。「世帯を持つか」と言う寅さん。
このシークェンスは、恰もこのシリーズ、ナンバー・ワン・マドンナは浅丘ルリ子との地位を確固とする瞬間に写った。
山田洋次監督も何とか二人を結婚させて、シリーズが完了しても満足と思うような撮りようだった。
行きはひやひや。帰りはへとへと。相変わらず金穴症の寅さん。シリーズ続行を匂わせつつ第25作は、恋と、政治の両輪を包含させた、そのような余韻も豊かに終わりを告げる。
【私の評価】愛を感じる佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1980年(2012/5TV録画観賞=再見).日(松竹)[監督]山田洋次[撮影]高羽哲夫[音楽]山本直純[主な出演者★=好演☆=印象]★渥美清。★浅丘ルリ子。江藤潤。新垣すず。倍賞千恵子。前田吟。三崎千恵子。太宰久雄。笠智衆。佐藤蛾次郎。[上映時間]1時間44分。
スポンサーサイト