奇跡

映画はその時代時代を反映しつつ今日に至っている。痴呆症や介護を巡る老人問題。癌や鬱等の現代病。不倫や離婚等の男女問題等、現代社会が抱える課題を材料にした作品が目立つ現在と云える。
この作品も両親の離婚により、父の福岡と、母の鹿児島に別れた兄弟が、双方から発車した九州新幹線の列車がすれ違う場所へ行けば願い事が叶うという奇跡を信じて行動する話。
ファンタジーの匂いも豊かなロード・ムービーに仕上がっている。この結末は人により採りようが違うかもしれない。私は表面上の奇跡こそ起きなかったが、旅をした子供達に、心の奇跡が起こったと解釈したい。
兄と弟は、両親の厳しい現実を弁えた上で、自分自身の新しき人生への旅立ちを想うという奇跡を見つけたのだと。
もう一人居る。福岡から弟に同行した少女の一人。彼女が、鹿児島から兄に同行した小学生も含む一行を、見ず知らずの家庭に一夜の宿を確保するエピソードが感銘深い。
これこそ、表面上の奇跡が起こったと云える。更に少女は帰宅後、女優になるという奇跡への旅立ちを決心するのだ。奇跡など起こらぬという固定観念は、それを言っちゃお終いようかもしれない。
【私の評価】優れた作品。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
2011年(2012/6/12TV録画観賞=初見).日(GAGA)[監督]是枝裕和[撮影]山崎裕[音楽]くるり[主な出演者★=好演☆=印象]☆前田航基。☆前田旺志郎。★内田伽羅。オダギリジョー。大塚寧々。長澤まさみ。阿部寛。原田芳雄。樹木希林。☆橋爪功[上映時間]2時間8分。
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