マーラー

マーラーの交響曲は声楽パートが多い。そして長~い。という固定観念を持っている。といったことからか。聴く機会は少ない。
彼がモデルの映画「ベニスに死す」では、第5番第4楽章が効果的だった。が、この映画ではマーラー自身が「第6交響曲第1楽章の第2主題は君だ」と妻に言う場面がある。
といったことから、久し振りに聴いてみた。軽快な行進曲風の旋律で始まる。だが第1楽章だけで約21分。全4楽章で約1時間17分かかった。やはり長~かった。(笑)
大作曲家の一人であることは論を待たない。映画の概要は、ほぼマーラーの自伝そのものと言えそうだ。
あのベートーヴェンも成し得なかった第10交響曲を創ろうと腐心するマーラーと、その妻が旅する列車内を背景舞台として、伝記風物語は展開して行く。

ただ、その描き方が可成り風変わりだった。フラッシュ・バックの多用はいいとしても、
①過去の出来事の抽象的な表現(六芒星が燃えるシーンで、マーラーがユダヤ教からカトリックへの改宗を意味)や、
②空想の映像化(棺桶の中からマーラーが眺めるシーンなど)
に、可成り奇異な感じを持った。
マーラーの足跡なり思想なりを、説明し主張しているのだろうが。
作曲家の伝記映画は少なくない。題名がすばりの「ラフマニノフある愛の調べ」や「敬愛なるベートーヴェン」。「アマデウス」もモーツァルトだと自ずから分かる。
「未完成交響曲」はシューベルトの代名詞だ。ガーシュインの「アメリカ交響曲」もあったなぁ。まだあるかもしれない。
マーラーは「ベニスに死す」で代表されると思っていたが、ずばりの伝記映画があったとは露知らず。初見であった。
【私の評価】準佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1974年(87公開)(2012/6/15TV録画観賞=初見).英[監督]ケン・ラッセル[撮影]ディック・ブッシュ[音楽]グスタフ・マーラー[主な出演者★=好演☆=印象]☆ロバート・パウエル。リー・モンタギュー。★ジョージナ・ヘイル。☆ロザリー・クラッチリー。レチャード・モーランド。アントーニア・エリス[原題]MAHLER[上映時間]1時間55分。
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