男はつらいよ 旅と女と寅次郎

満男の運動会を巡るエピソードは出色。吉岡秀雄は、父の代理で出席するという寅さんに、本当は来て貰いたくない心情を、嫌みのない演技力で吐露している。
またそんな満男に対して天真爛漫そのものの寅さんは正に、無法松の松五郎。微笑ましい伯父、甥の光景である。核家族化した現世では最早や殆ど見られなくなった、大家族制度時代の佳き慣習にノスタルジアを感じる。
佐渡島の風景は情緒豊か。島の傍らで倒れていたお地蔵さんを、そっと起こす京はるみ。そんな彼女の心情を察する寅さん。二人が泊まる民宿のお婆さん。人情も豊かである。この観点からは此のシリーズ従来からの伝統は引き継がれている。
だが今回は少し異色。都はるみの歌が多すぎる。これが男はつらいよシリーズの基本的な構成なり、雰囲気なりを壊している。見方によっては、ちょっとした芝居付きの歌謡番組と捕られても仕方がないのでは?。
【私の評価】凡作といえばお叱りを受けるか?。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→④。
1983年(2012/6/19TV録画観賞=再見).日(松竹)[監督]山田洋次[撮影]高羽哲夫[音楽]山本直純[主な出演者★=好演☆=印象]渥美清。都はるみ。藤岡琢也。☆北林谷栄。倍賞千恵子。前田吟。★吉岡秀雄。下条正巳。三崎千恵子。太宰久雄。笠智衆。佐藤蛾次郎[上映時間]1時間41分。
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