十一人の侍

①「七人の侍」
②「忠臣蔵」
③「十三人の刺客」
を合わせて3で割ったような映画。
いや、どちらかと言えば③」に近い。
“起承転結”の“転”を先に描いた「桜田門外ノ変」に対し、本作はオーソドックスな描き方だ。これで分かった。こちらが本家だから、きっと分家は描き方の物まねを避けたのだ。と自分勝手に推察してみたが?。
徳川将軍愚弟が凶行する“起”に始まり、犠牲者の部下が仇討ちを策す“承”に到る。此処では大石内蔵助と吉良方家老そっくりの役侍が、それぞれ丁々発止と策を巡らす。
斯くして7人ならぬ11人の侍が集まる。が、如何にして集めたかを、①のように念入りに描かれていないのが欠点。忽然と集まった6人が正に切腹せんとするショット。あまり深みが出ないのはその一例。
③の13人には足りないが、女が一人加わるのは異色にして如何にも当時の東映調。
“転”に至りて時代劇の東映得意の華麗なチャンバラが…。繰り広げられた血生臭いアクションはやがて終わりを告げ、愚弟殿様が果てる“結”に到る。
③と酷似したというよりも③がパ喰った。と独断と偏見で推察する最後に残る侍。彼がぶら下げた馬鹿殿様の首は如何にもグロテスクとしか見えぬのは、②の吉良上野介の首と違うところ。 といった具合の作品。
観ている間は面白く、勧善懲悪の型通りに展開して東映時代劇は終わる。それにしてもスーッとする。この後味の良さ。
そして思い出す。同じ時代劇でも、同じこの年に公開された話題作「上意討ち」を討ち(見)逃したのは返す返すも残念なりと。
【私の評価】準佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1967年(2012/7/2TV放映同時観賞=初見).日(東映)[監督]工藤栄一[撮影]吉田貞次[音楽]伊福部昭[主な出演者★=好演☆=印象]★夏八木勲。里見浩太朗。大川栄子。西村晃。南原宏治。宮園純子。大友柳太朗。菅貫太郎。佐藤慶[上映時間]1時間40分。
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