追悼;アーネスト・ボーグナイン

第二次世界大戦も終わり、平和が甦ったハリウッド黄金時代を支えた俳優が次々とこの世を去って、寂しい思いに駆られる昨今である。
いままた、アーネスト・ボーグナインさんが今月8日、95才の天寿を全うされたことを知った。
若かりし頃、銀幕でよくお目に掛かった。所謂二枚目ではないが、映画には欠かせぬ人だった。
その時に観た映画の一つに「マーティ」がある。
当時の感想記は、極く簡単に書いてあるだけ。
この映画の真価を知ったのは、ずっと後からだった。
以下に、二度目の鑑賞記から抜粋し、追悼の意を捧げたい。
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マーティと私の相似形に驚愕。
刑事コロンボもそうだが、マーティはイタリア系。
質実剛健な生活は同じ頃公開されたイタリア映画「鉄道員」と似る。
当時の日本の家庭も状況は似通っていた。
マーティの従兄弟夫婦と母親に起こる、嫁と姑の葛藤は、私の場合にも当てはまるもの。
チャリンときつく叩くレジの音で「結婚しろはもう嫌だ」の心理を垣間見させるアーネスト・ボーグナイン。
巧い。
私もそんな時期があったから。
「この曲はテンポが早いな」
Oh!私もそうだったっけ。
女性と居る時は何時も話せない君。
もう、そっくり。
もてない心理は判るよマーティ君。
が、決して醜くはないクララと出逢い、堰を切ったように話し出す君に感動する。
「二人の人間が結婚して、何十年を共にするには…」
「容姿より大切なことがある」
「父は醜くかったが母はとても愛して居た。母が落ち込んだ時、父が何時も力になって呉れてたらしい」
「子供の頃、両親が話し合ってるのを見て、父の優しさを頼もしく思った」
「僕の人生で最も美しい思い出だ」に…。
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アーネスト・ボーグナインさん。
いや、マーティさん。
貴男の姿に、誠に僭越ですが、在りし日の私が重なります。
「ヴェラクルス」「特攻大作戦」「ディミトリアスと闘士」「ヴァイキング」「ワイルドバンチ」……。
ほかにも沢山の映画でお目に掛かりました。
「去り行く男」では、人の良すぎる牧場主を演じた貴男は、本当に、その役柄に合っていましたた。
いま、去り逝くあなた。
アーネスト・ボーグナインさん。
安らかにお眠り下さい。
合掌。
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