人生劇場飛車角と吉良常

元来、日本映画の任侠・ヤクザ路線は、外国映画のギャングものと共に、あまり好きではないジャンル。だからといってその総てを否定するものではない。
後者(外国映画)の「ゴッドファーザー」シリーズなどは、特に映画的に賛美さえしたいぐらいだ。この日本映画も賛美とまでは行かなくとも、決して毛嫌いするような雰囲気は見当たらなかった。
冒頭附近の大銀杏の樹と、その梢に轟く拳銃の轟音が見事な伏線を形成する。裾模様のように織り為す煌びやかで重厚な人間模様の中で、現世では早や廃れた感のある人間関係の在り方を再認識させる。その重量感は相当のもの。
かって紅白歌合戦で村田秀雄さんがよく唄っていた「人生劇場」。オリジナルはこの映画の冒頭に聞こえる鶴田浩二さんだった。♪~義理が廃れば~此の世は闇だ~。
その昔に見られた細やかで暖かい人情が、ともすれば薄まり、廃れつつあると、時には感じる現世である。決して闇に廃らしてはならないなぁ。
【私の評価】悪が滅びスカッとさせる佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→③。
1968年(2012/7/16TV録画観賞=初見).日(東映)[監督]内田吐夢[撮影]仲沢半次郎[音楽]佐藤勝[主な出演者★=好演☆=印象]鶴田浩二。松方弘樹。高倉健。若山富三郎。★辰巳柳太郎。島田正吾。☆信欣三。藤純子。左幸子[上映時間]1時間49分。
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