【1】[まえがき]
サッカーが女子男子とも幸先良いロンドン五輪。開会式まで12時間を切った。
東京五輪から6年後のこの年。♪~こんにちは~こんにちは~世界の国から~。三波春夫さんの明るい歌声がテレビから毎日の様に流れていた。
左の画像。上から、「日本万国博覧会・公式ガイド」。当時撮った太陽の塔の写真(少々色が褪せた)。アポロ11号が持ち帰った月の石見たさに10回も赴いた入場券の右端部。 選んだ第1位は、万博風景も登場する「家族」。昨年第1作、第2作が公開された「男はつらいよ」シリーズ。この年公開の第3,4,5作も選出。
【2】
'70公開作 My Best10【各画像クリックで本文】
第1位
「家族」
九州の小島から瀬戸内の小島へ。日本万博会場も訪れたこの家族。波乱の東京を経て落ち着く先は北の国。厳寒の冬去り春来たる。夫婦に新しい命の誕生が近い。「カトリックは辛かばい」精一の言葉に、瑞々しい笑いと希望が湧く。寅さんシリーズが前年から始まっていた。シリーズの合間に素晴らしいロード・ムービーを創り上げた山田洋次監督に乾杯!。第2位
「どですかでん」
黒澤明監督が初めて撮ったカラー作品は、色の三原色に意味を持たせる発想に基づいていないだろうか。‘赤’夫婦と‘黄’夫婦の葛藤などは理解出来易くて苦笑した。ユーモアが暖色系なら、ペーソスは‘青’だ。不幸な人々の顔に籠もる青い蔭、影、陰。第3位
「戦争と人間(第一部)運命の序曲」
『人間の条件』と兄弟のような徹底した反戦映画。と同時に巨大財閥に対する力弱き庶民の怒りが充ち満ちる。「これだけは言える。金持ちは貧乏人の味方にはなれぬ」という強烈なセリフを残して、時代は1932年に突入していく。私は大変な年に生を受けたのだなぁ。第4位
「影の車」
誠に怖ろしい映画である。考えようによってはホラーよりも恐い。ホラーは表面を撫でる旋風。これは深層まで深く静かに潜って行く黴菌だ。度々現れる、暗く、鈍い、フラッシュ・バック。その最後に出現したショットで事の真相が判明する。第5位
「裸の十九才」
可哀想な母親である。背中で応える乙羽信子。渾身の演技に瞼が熱くなった。新藤兼人監督。精魂を傾けて50歳代に撮られたこの作品は、超激辛。脂の乗りきった匂いが発散している。第6位
「男はつらいよ 望郷編」
豆腐屋家業に精出す寅さん。口だけは相変わらず辛辣だ。「けつに卵1の殻つけて…」なんて台詞も、寅さんに掛かると下品さは無い。今回の季節は夏真っ盛り。夏姿。盆興行。冷やし素麺。花火。海水浴場。…夏の風物詩に酔うばかり。第7位
「男はつらいよ/フーテンの寅」
当時は男性の喫煙率90%を超える。私も当時はヘビースモーカー。映画の中でも男優はポカスカ吸っている。寅さんを怖がり、梅太郎が口からポイッ!と落とすショットが傑作。温泉旅館に住み込む寅さん。おかみを巡る大騒動に。第8位
「座頭市と用心棒」
特異な反戦映画等で著名な岡本喜八作品。でもお門違いではない。ジョン・フォード/黒澤明/用心棒と連想し我流で納得。三船敏郎は得意役。勝新太郎とがっぷり組む。紅一点が大映の看板女優、若尾文子と来れば一級娯楽作が完成。第9位
「新・男はつらいよ」
おいちゃん夫婦をハワイ旅行に招待しようとした寅さんの夢は儚く破れる。泥棒騒動があって、例によって家を出る寅さん。1ヶ月経つ。葛飾柴又の2階は春子が借りていた。この時代に流行っていたミニスカートがよく似合う栗原小巻。幼稚園の先生に扮する。第10位
「富士山頂」
ヘリでドームを運ぶシークェンスのみ印象的だが消化不良。私の好みで発言することを許して貰えれば、八方美人のよう。もっと抑えて。総花的。現代版忠臣蔵のような映画。ただし吉良上野介は居ない。----------【完】-------------
以下は私のひとりごとです。
消化の良い家庭菜園夏野菜で、ロンドン五輪の夏を乗り切るとするか!。
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