拝啓天皇陛下様
'63公開【監督】野村芳太郎【主演】渥美清【助演】長門裕之.左幸子(他)

「兵隊さんは辛いのね~」とラッパの音。「一つとせ~人の嫌がる軍隊に、志願して来る奴が居る」の替え歌も流れる。前半は反戦映画だ。
だが此処での軍隊内部描写は「人間の條件」や「真空地帯」等に於けるような、凍てつくような激しさや厳しさは見られぬ。どちらかと言えば、人間の尊厳が保たれている。
一体どちらが真実なのか。私はどちらも真実だと思う。「軍隊体験の無い者に何が分かる」と言われそうだが、軍人だった祖父や叔父と接した子供時代や、太平洋戦争時代に飛行機格納施設を造った頃、予科練生と接した乏しい体験からではあるが、ある程度の雰囲気は感じ取っているから。
後半は一転して、敗戦後、中国戦線から生還した主人公が戦後を生きる物語。此処での描写は、実体験しているから、一種の懐かしささえ覚えた。
一升瓶の中の玄米を突いた労働は、今もこの体が覚えている。
そんな苦しい環境下で、折角の恋を得た瞬間に、品質の悪い酒に呑まれて40才の若い命を落とした山田正助哀れなり。ラストで不覚にも落涙した私であった。
通称“山正”に扮した渥美清さんは、その筆跡字体一つからも、近くに迫っていた「男はつらいよシリーズ」近しを思わせる演技だった。
1931年から始まり、1950年代に到る一人の人物の生き様と、彼を取り巻く人々の喜怒哀楽から、人の命の儚さと、尊厳を想う。
下の画像は、今朝6時過ぎの西の空に浮かぶ月。大宇宙の中の埃のような人間ではあるけれども、一寸の虫にも五分の魂ある如く、誇りを持って生きていきたい。


「兵隊さんは辛いのね~」とラッパの音。「一つとせ~人の嫌がる軍隊に、志願して来る奴が居る」の替え歌も流れる。前半は反戦映画だ。
だが此処での軍隊内部描写は「人間の條件」や「真空地帯」等に於けるような、凍てつくような激しさや厳しさは見られぬ。どちらかと言えば、人間の尊厳が保たれている。
一体どちらが真実なのか。私はどちらも真実だと思う。「軍隊体験の無い者に何が分かる」と言われそうだが、軍人だった祖父や叔父と接した子供時代や、太平洋戦争時代に飛行機格納施設を造った頃、予科練生と接した乏しい体験からではあるが、ある程度の雰囲気は感じ取っているから。
後半は一転して、敗戦後、中国戦線から生還した主人公が戦後を生きる物語。此処での描写は、実体験しているから、一種の懐かしささえ覚えた。
一升瓶の中の玄米を突いた労働は、今もこの体が覚えている。
そんな苦しい環境下で、折角の恋を得た瞬間に、品質の悪い酒に呑まれて40才の若い命を落とした山田正助哀れなり。ラストで不覚にも落涙した私であった。
通称“山正”に扮した渥美清さんは、その筆跡字体一つからも、近くに迫っていた「男はつらいよシリーズ」近しを思わせる演技だった。
1931年から始まり、1950年代に到る一人の人物の生き様と、彼を取り巻く人々の喜怒哀楽から、人の命の儚さと、尊厳を想う。
下の画像は、今朝6時過ぎの西の空に浮かぶ月。大宇宙の中の埃のような人間ではあるけれども、一寸の虫にも五分の魂ある如く、誇りを持って生きていきたい。

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