カイロの紫のバラ

「ミッドナイト・イン・パリ」を見終えた後で思い出した。ウディ・アレン監督は、そのオリジナルらしき作品を既に28年前に撮っていたのを。
それが本作である。舞台となる時代も1930年代。「ミッドナイト…」より10年ほど後に過ぎない。
銀幕を抜け出して来たトムと、観客のセシリアが恋をする。
何というファンタスティックな発想だろう。
更にそれだけに終わらせぬ展開が待っていた。
これに、トムを演じた俳優のギルが絡んで来るのだ。
お~、ギルはオリジナルでも登場していたか。ウディ・アレン監督はギルという名がお好きかも?。
兎にも角にも此処では二人の男性と一人の女性。
「ミッドナイト…」では二人の女性と一人の男性。
といったような細部が異なるだけ。
その骨格は、ウディ・アレン作品独特の雰囲気と、映画が持つ強みを100%発揮させた作品である。
と言えば少々大袈裟か。でも少なくとも50%は発揮しているだろう。
実際、トムがスクリーンから飛び出してきた時は仰天。あれには今を盛りの3D映画も及ばないもの。
といった点に於いて、この「カイロ…」は、劇中劇の世界と現実世界を接触させたアイデアに新鮮みを感じる。
それに、劇中劇の題名自体が「カイロの紫のバラ」と言う発想も洒落て居る。
更には、1930年代に撮られた現実の映画「トップ・ハット」に変身しているラストの機知にも喝采を贈りたい。
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