メリエスの素晴らしき映画魔術

このドキュメンタリー映画「メリエスの素晴らしき映画魔術」を見て、これは劇映画「月世界旅行」と、ファンタジー映画「ヒューゴの不思議な発明」との、三位一体の映画だと思った。
極論すれば、「メリエスの…」の前半は「ヒューゴの…」の真相であり、後半は「月世界…」の解明である。
「ヒューゴの…」を見た時は駅名を東駅と錯覚したが、「メリエスの…」を見て、それはモンパルナス駅と分かったのも収穫だった。
また、「月世界…」もより良く理解することが出来た。
そして何よりも、ジュルジュ・メリエスの人物像を知ることが出来た。
まだ飛行機のない時代だった。映画が誕生した時は…。
当初は1分程度撮影した作品の寄せ集めに過ぎなかったのか。

映画に興味を示した奇術師ジュルジュ・メリエスが、オペラ座広場で撮影中に撮影機が故障したことから、SFXを発見する件は興味深い。
映画の中では分かり難い点もあったので、後日「フランス映画史の誘惑」を再読して理解を深めた。
またこれが機で、撮影過程でのSFXに対し、ポストプロダクション過程でのVFXとの相違も理解出来たのは収穫。
白黒フィルムの「月世界…」。その一齣一齣に、人の手で色を塗る。色のはみ出しは許されなかったのだ。
20世紀末に発見されたこの着色映画を、現代のデジタル技術で甦らせたカラー版。
これらは総てVFXの領域といえるだろう。
やがて飛行機の誕生は、メリエスのスタジオを閉鎖に追いやる結果になる。
でもメリエスが映画界に尽くした功績は、永久に世界映画史に刻まれ、讃えられることと思う。
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