あなたへ (2012年)

NHKや有料民放ではないので、その必要性は分かるが、CM入りの放映映画は見ないことにしている。度重なるCMによる中断が鑑賞意欲を著しく削ぐからだ。
また、概ねCMの総時間程度のシーンだけフィルム・カットがありそう。かってアルフレッド・ヒッチコック監督が「フィルムを切るなら横に切らずに縦に切れ」と怒った逸話を思い出すが、このことは見る側にも云えること。これでは作品を完全に見たことにならないのだ。
だけど先日地上波初放映と謳った「あなたへ」は、是非見たい作品だったので鑑賞した。その理由は、丁度1年ほど前に高倉健さんとの対談を中心とした内容のTV番組を見ていたから。
図らずも余談が多くなってしまった。肝心の映画は幸いにして放映時間が丁度CMの総時間程度だけ延長されていたので、カット部分は殆ど無かったのではないだろうか。
そういうことで、1年前に印象深かった故大滝秀治さんに拘わるシーンも興味深く見られた。演技力充分な方の画面は一際引き締まる。
英二(高倉健)と多恵子(余貴美子)の会話が意味深長。謎の言葉を残した妻(田中裕子)の散骨を終えた英二が、多恵子の願いを叶えなかった降旗康男演出が特に冴えて居り、夫婦の在り方についていろいろ考えさせられるものがあった。
ビートたけし、佐藤浩市らも好感在る助演。いま大河ドラマで新島八重を演じている綾瀬はるかも新鮮だった。ロード・ムービーって、いいなぁ。
スポンサーサイト