小川の辺 2011年

藤沢周平文学の映画化は数多い。よく登場する北国の小藩、海坂藩が此処でも舞台となって居る。腕の立つ一藩士が、藩命により心ならずも妹婿を切る苦悩が切々と胸を打つ。
鄙びたる中にも緑なす小川のほとりが哀しさに満ち溢れ、冷たくも清らかに澄んだせせらぎが此の世無情と流れゆく。
篠原哲雄監督は、同じ藤沢周平原作の「山桜」(2008年)も演出しているが、2010年公開の中西健二監督作品「花のあと」らと共に、人間の尊厳を真摯に見詰める藤澤文学を、ものの見事に開花させている。小品ながら纏まりのある優れた作品。
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