プッチーニの愛人 2008年('11公開)伊

プッチーニといえば直ぐに歌劇「蝶々夫人」を想起する私だが、この映画は彼の音楽そのものよりも、寧ろ彼を取り巻く女性関係に焦点を当てていることは訳題からも彰かである。
冒頭附近でプッチーニの情事を見て仕舞うメイドの自殺。これに妻が絡めば内容は言わずもがなであるが、何故か格調の高い雰囲気の中で鑑賞出来た。
物語の内容も多少ミステリアスで興を曳く。が、底流に流れる表現手法そのものが格調を生み出している要因と云えそう。一昨日「アーティスト」はサイレントを愛していると書いたところだが、この映画もやはり、サイレント的表現を愛していると思う。
台詞が極端に少ないのだ。それでも流れや展開が読めて来る。手紙の多用という手法によって。湖畔の風景を中心とする映像表現も耽美的なのは、カラー映画に拘わらず底流にモノクロ時代的思想が脈付いているからといえば過言か?。兎に角この映画には3Dデジタルは別世界である。準佳作。
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