愛染かつら 総集編

子供心にこの映画の主題歌は諳んじていた。♪花も嵐も踏み越えて~行くが男の生きる道~泣いてくれるな~ほろほろ鳥よ~(以下略)。「ほろほろ鳥って、どんな鳥?」と、親に尋ねた思い出が残っている。が、この74年前の映画は初見。浦島太郎の心境だった。
田中絹代…若いツ!。♪ドリゴのセレナーデが取り持つ縁で、心を通わせた一児の母、高石かつえと、津村病院院長の息子浩三。二人の恋物語は一言で言って、甘い。

が、よく言えば、ロマンティックだ。
①かつらの木に纏わる伝説を巧みに活用した事。
②戦後の「君の名は」は、これのオマージュとも思えるドラマティックなすれ違い。
③その興味を倍加させるクロス・カッティングの活用。
④♪旅の夜風のほかにも、田中絹代が看護婦(当時の呼び名)姿で唱う歌(題名忘却)など、音楽効果による抒情味。等である。

当時の和服姿や洋装スタイル。看護士スタイル。男女の髪型。等、時代考証の勉強材料は豊富。
ハッピー・エンドなのは如何にも大衆的だが、寅さんの言葉をお借りすれば、「それを言っちゃ、おしめぇよぉ~」。現在の映画とは全く対照的な、シンプルな構成は、好感度良し。
映画は娯楽の観念から眺むれば、100%優れているとも言えるだろう。
【私の評価】中の中。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→③。
1938年(2012/2/7TV録画観賞=初見).日(松竹)[監督]野村浩将[撮影]高橋通夫[音楽]万城目正[主な出演者★=好演☆=印象]★田中絹代。上原謙。佐分利信。高杉早苗。★桑野通子。☆吉川満子。小島和子。岡村文子。爆弾小僧[上映時間]1時間29分。