男はつらいよ 寅次郎相合い傘

男はつらいよシリーズで見逃せないのが、冒頭の寅さんが夢見るシーン。今回は海賊をやっつける。見慣れた顔の海賊が居る。よく見ると、第10作の「寅次郎夢枕」に出演した米倉斉加年と、前作の「寅次郎子守唄」出演の上條恒彦だった。
さて、今回の第15作は、いやに偶然が多すぎる。寅さんが折りが良すぎるほどリリーとバッタリ。函館で。とらやで。函館で再会。と、←野暮かな?。「それを言っちゃおしめえよ~」と言われそう。やめとこ。そんなちっぽけなことは本当によいのだ。
第15作の圧巻は、リリーが寅さんにきる名啖呵だ。曰く。「幸せにしてやる?。大きなお世話ね。女が幸せになるには男の力を借りなきゃいけないと思ってるの?。笑わせないでよ!」。男性はハッとなるし、女性は快感ではないだろうか?。もっとも男女同権が浸透した現在では、それほどでもないか。
それにしても、寅さんシリーズのマドンナは上品な女性が多いが、リリーだけは例外である。そんな松岡リリーを車寅次郎はこよなく愛するのだ。よくわかるよ。その心理。
リリーとはよく喧嘩する。だが、喧嘩の後で、寅さんは柴又の駅で待っている。何も言わずにリリーに差し出す相合い傘。
寅さんのメロンをみんなで食べる愉快なシークェンスと共に、この第15作の白眉である。
【私の評価】可成りの意欲ある佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1975年(2012/2/観賞=再見).日(松竹)[監督]山田洋次[撮影]高羽哲夫[音楽]山本直純[主な出演者★=好演☆=印象]★渥美清。★浅丘ルリ子。☆船越英二。倍賞千恵子。前田吟。三崎千恵子。太宰久雄。笠智衆。佐藤蛾次郎。[上映時間]1時間31分。