男はつらいよ 葛飾立志篇

「他人の空豆」とか、“考古学”を“孝行”に引っ掛けるギャグなど、相変わらず笑わせる寅さんだが、今回は“勉強”ということについて考えさせられる。「何のために勉強するか?」に、「己を知るため」と言い放つトラさんが一際精彩を放っている。
「どういうこと」に対し、「自分は何のために生きているのか」とぶつ講釈だが、この映画は喜劇が本命。「人間は考える葦」の葦→足で噴き出す。「タコは8本。おれ2本」がそれに拍車をかける面白さが、寅さんシリーズの命といえよう。
兎に角、勉学に目覚めた寅次郎は、下宿に来た“学者の卵”礼子に夢中。一気発念!「水曜7時30分。僕も勉強する」。歴史の勉強を始める寅さんであった。小林桂樹を筆頭に助演陣が佳い彩りを添えている第16作である。
【私の評価】佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1975年(2012/2/観賞=再見).日(松竹)[監督]山田洋次[撮影]高羽哲夫[音楽]山本直純[主な出演者★=好演☆=印象]★渥美清。樫山文枝。桜田淳子。米倉斉加年。大滝秀治。★小林桂樹。倍賞千恵子。前田吟。三崎千恵子。太宰久雄。笠智衆。佐藤蛾次郎[上映時間]1時間37分。