男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け

冒頭寅さんの夢は「ジョーズ」。この第17作の前年に公開されていた。巧みにその折々の話題をキャッチしている。上手い。
甥、満男の入学祝いに「500円という訳には…」という寅さんの祝儀袋がいやに大きい。これ寅さんの見栄に非ず。彼の人徳である。
今日(2012/3/17)の弊購読紙土曜日特集版は、往年ヒットした寺尾聡の「♪ルビーの指輪」を話題にしている。これも時勢にマッチしたいい歌だった。
その彼が名優の父と共演している。前作に増して好調な助演陣だが、宇野重吉の存在こそ第17作のレベルをアップした。(と私は思う)。

6000円の鰻。7万円の即興墨絵。エピソードも味がある。
名画伯が寅さんと赴く播州龍野。サブタイトル通り、夕焼け小焼けが美しい。
上手い助演者はほかにも居る。
芸者、ぼたんに、酒をついで貰う博(前田吟)。傍らの妹さくらの目を気にする仕草のこの巧さ。

ぼたんの損金500万円と、500円しか持っていないトラ。法の前には役立たずだったタコ(太宰久雄)。このタコさんも奮闘助演した口。そんな彼に替わって奮起するトラ。行き先も分からないのに。
やはりキーポイントは宇野重吉画伯であったか。
【私の評価】優れている。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→①。
1976年(2012/3/17TV録画観賞=再見).日(松竹)[監督]山田洋次[撮影]高羽哲夫[音楽]山本直純[主な出演者★=好演☆=印象]渥美清。太地喜和子。寺尾聰。大滝秀治。岡田嘉子。★宇野重吉。倍賞千恵子。☆前田吟。三崎千恵子。★太宰久雄。笠智衆。佐藤蛾次郎[上映時間]1時間49分。