男はつらいよ 翔んでる寅次郎

「卒業」(67,米)のパロディと推測するが、このシークェンスが目玉。こちらは目出度く二度目の結婚式とは相成る。これは喜劇。いいだろう。田園調布を「田園地帯」と思っている寅さん。やたらに多発気味なのはちと頂けない。でもこれも些細なこと。一時は舞い上がって仕舞う寅さんが愛らしい。
「窓開けて空を見てご覧。お星様傘被ってるよ」の台詞も空しくなって…。「振られた後で気が付くじゃないか。やっぱり恋をしていたと」に、落ち着くのは何時ものこと。だが、満男の作文で始まるこのシリーズ。全編明るい笑いに包まれている。
ひとみ(桃井かおり)の母役、木暮実千代。「お召し上がり遊ばせ」。「さいざます」。「ご旅行先は」。などなど、おいちゃん夫婦や、さくらまでも、ざあます言葉を伝染させてしまう。さすが貫禄。ひとみと邦夫(布施明)の結婚披露宴で、仲人を務める寅さんのスピーチには腹を抱える。
桃井かおりというキャラクターが、この喜劇を佳作レベルに押し上げた。布施明も得意の喉でこの佳作喜劇に華を添えている。といったことで、【私の評価】佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1979年(2012/3/31TV録画観賞=再見).日(松竹)[監督]山田洋次[撮影]高羽哲夫[音楽]山本直純[主な出演者★=好演☆=印象]★渥美清。★桃井かおり。☆木暮実千代。布施明。湯原昌幸。倍賞千恵子。前田吟。三崎千恵子。太宰久雄。笠智衆。佐藤蛾次郎。[上映時間]1時間47分。