1958年の公開邦画 My Best10

【1】
新幹線は未だ無かった。↑特急こだま↑が東京→大阪を6時間50分で走った年だった。
白黒テレビで連続ドラマ「バス通り裏」が人気を集めた。どことなく映画に斜陽の影が漂うのを感じ始めていた。
【2】
事実この年に述べ11億人を上回った映画館入場者数は、この1958年をピークとして、音を立てて崩れて行く。
益々仕事に追われて来た私も、下記の拙いグラフ↓に比例するように、右肩下がりに映画館に赴く回数が減って行く。

【3】
私の映画鑑賞ノートもこの年の「No.8」↓を以て終了する。

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【4】
観た1958年公開邦画。
★印=1次通過。「題 名」→【寸 評】
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↓「忠臣蔵 暁の陣太鼓」→可も無し不可も無し。
↓「海女の岩礁」→愚作。(三本立ての添え物)。
★「杏っ子」→下述。
「怒りの孤島」→ノースターの良心作なれど。
★「鰯雲」→下述。
「駅前旅館」→お馴染みのシリーズもの。
「江戸の花笠」→駄作。(三本立ての添え物)。
★「炎上」→下述。
「大番完結編」→原作読むも映画はこれが初。
「おトラさんの休日」→何たる恥劣。何たる愚作。
「鬼灯灯篭」→スリルしサスペンスまずまず。
★「隠し砦の三悪人」→下述。
「佳人」→清廉なれど、センチメンタル過ぎて。
「家内安全」→生活感滲み出ず。
★「巨人と玩具」→社会風刺効くも現実感欠く。
「月給13000円」→平凡なサラリーマン映画。
★「この天の虹」→下述。
「続禁断の砂」→一応面白いが後に何も残らず。
「大菩薩峠(第2部)」→昨年に続くシリーズもの。
「忠臣蔵(大映)」→チャンバラが多すぎて。
★「つづり方兄弟」→教育性と娯楽性持ち合わす。
「東京の休日」→山口淑子引退記念映画。凡作。
「東京の瞳」→大映オールスタア顔見せ興行。
「としごろ」→平凡。
★「楢山節考(木下恵介監督)」→下述。
「日蓮と蒙古大襲来」→娯楽性は充分。
「猫は知っていた」→原作の映画化見事に失敗。
「暖簾」→まずまずの水準作。
「八人の花嫁」→収穫は榎本健一のがらっ八。
★「張込み」→下述。
「春高楼の花の宴」→娯楽作としては上の部か。
★「彼岸花」→下述。
「美女と液体人間」/→失敗作。怪奇性出ず。
★「陽のあたる坂道」→力作なるも消化不良気味。
「氷壁」→推奨に値するほどでも無い。
★「蛍火」→下述。
★「無法松の一生(リメイク版)」→下述。
★「夜の鼓」→下述。
「若い広場」→下手な映画の標本のような作。
「若き美と力」 →第3回アジア大会記録映画。
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【5】
1958年公開邦画 My Best10【各画像クリックで本文】
第1位
「楢山節考」
底に眈々と流れる肉親愛。老人愛護の崇高な精神。

第2位
「彼岸花」
中間色基調の落着き宿す巨匠小津安二郎の初カラー作。

(映画はカラー作品)
第3位
「張込み」
水も漏らさぬ張込み。水も漏らさぬ出来映え。

第4位
「隠し砦の三悪人」
「スター・ウォーズ」も引用した西部劇的雰囲気充満す。

第5位
「無法松の一生」
大型画面の使いこなし。情感。リメイクの意義宿す。

第6位
「夜の鼓」
格調高く、蟻の這い出る隙もなし。

第7位
「炎上」
回想形式を巧く使った重厚な出来映え。

第8位
「杏っ子」
独身時代に観た感動。我が子の命名に及ぶ。

第9位
「蛍火」
歩こう会で訪れた旅籠寺田屋の思い出。

【現在の寺田屋↑】
第10位
「鰯雲」
今も新鮮な残像あり。ラストシーンの淡島千景。

【次点】
「この天の虹」
後年になってから湧いて来たしみじみとした実感。
