お早よう

戦後の小津安二郎作品の中では「宗方姉妹」と共に未見だった「お早よう」を、奇しくも2日連続で観た。ひとりでDVDを。ふたりでTV放映を。
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【映画が始まる】
…お馴染みの松竹映画/富士山のロゴ
…にしては珍しいオナラのような?音楽。
観客(A)「結婚した年の映画だ!」。
(↑→観客の字句を以下省略。以下の『』内は台詞)
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【トップクレジットが始まる】
(A)「小津映画の布地模様の背景は何時も佳いなぁ」。
(A)「佐田啓二に、久我美子か…」。
(B)「三宅邦子、そして、杉村春子…あ、沢村貞子も出てる…」。
(A)「笠智衆。東野英治郎か…小津映画は何時も名優の洪水だ」。
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【トップカット】高い送電線鉄塔の下に、整然と居並ぶ同じ造りの家屋。その先に堤が見える。、寅さん映画の土手?そっくりの。
(B)「何処かの社宅かな?」。
(A)「そうかもしれない」。(→これは違っていた)
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【露わになりゆく、家屋の部屋の立て付け】
(B)「表口と勝手口とあるんだぁ」。
(A)「この頃、妹もこんな文化住宅に住んでいたなぁ」。
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【露わになりゆく、林。原口。富沢。丸山。大久保ら各家の人々】
(B)「あの時分は家庭の女性は和服だった。懐かしい」。
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【他に、当時としては高級なアパート(当時はマンションと呼称せず)に住む福井家の姉弟】
『明日は高級車1台契約が取れそう』
(A)「此処は文化住宅より高級だな。煙草、吸ってる~沢村貞子」。
(A)「佐田啓二が電車待ちの時、久我美子と交わす会話が溜まらない。あの時分は皆そうだった。今の若い人に解って貰えるかなぁ?」。
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【林家=夫婦と二人の子&妻の妹】
(A)「笠智衆の股引姿も懐かしい。あツ!またオナラをした」。
『あなた、何か言った?』
『いや、何も言ってない』
(A)ハハハ。

(A)「兄弟同じ柄のセーターを着ている」。
(B)「あれは手編み。手作りの。あの時分は大抵、家で毛糸を編んだもの」。
(B)「あ、兄さんの方は左利きなんだぁ」。
(A)「モノクロテレビ欲しい気持ち解る。あの時代、電器屋さんの店頭はプロレス立ち見の人だかりだったなぁ」。
『テレビは買わぬ。1億総白痴化になる』
(A)「これも懐かしい言葉だ」。
(A)「給食費伝えられぬもどかしさ…傑作!」。
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【原口家=夫婦と一人の子&妻の母】
『楢山よ』。
(A)「杉村春子、上手いツ!何時もの事乍ら。三好栄子も…」。
(B)「男の子のパンツの生地、キャラコという言葉が懐かしい。あれは木綿。同じ木綿でもブロードは高くて買えなかったもの」。
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【富沢家】
(A)「もし、リアルタイムで観ていたら、定年の東野英治郎を見る眼。当然受けるものが違っていたなぁ。定年過ぎた老いの眼で観る今と」。
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【映画が終わって】
(A)「この映画をリアルタイムで観ていたら、若かりし頃の何時もの目線からの感想だったろう。見逃していて良かった。これは老いてこそ分かる映画かもしれない。若い頃は家庭を顧みなかった。余裕がなかったは言い訳。大半は家庭で暮らすのに。家庭こそ大事」。あぁ、遅かりし由良之助~!。
(B)「主婦の心境や行動の捉え方が鋭かった。様々な教訓を得た。例えば『人の噂を単純に信じるな』。反省させられるものがあった。そして後味の爽やかなこと」。
といったことから【私の評価】秀作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1959年(2012/4/30DVD観賞=初見。5/1TV放映鑑賞=再見).日(松竹)[監督]小津安二郎[撮影]厚田雄春[音楽]黛敏郎[主な出演者★=好演☆=印象]佐田啓二。久我美子。★笠智衆。☆三宅邦子。★杉村春子。☆設楽幸嗣。島津雅彦。高橋とよ。沢村貞子。東野英治郎。殿山泰司。★三好栄子[上映時間]1時間34分。