サウンド・オブ・ミュージック

これで何度目の鑑賞だろう。正月に放映していた「サウンド・オブ・ミュージック」をまた見た。それが何度見ても飽きない。見る度に新たな感動さえ感じる。製作後40年経っているのに、その色彩の美しいこと。冒頭の、白銀のアルプスを背に、緑成すザッツブルグの草原。歌うジュリー・アンドリュースの爽やかさ。これぞミュージカルだ。
ミュージカルといえば、普段の会話風景中に突然歌い出したり、踊り出す不自然さに違和感を覚えることもあるが、この作品は物語との一体感があるから、殆どそれを感じぬ。強いて言えば、修道院の女性達がマリアについて歌う場面ぐらいだ。トラップ大佐の「君は家に音楽を甦らせてくれた」が象徴的。マリアと7人の子供たちの人形劇が実に楽しい。
此処での子供たちの「お休みの挨拶」や、大佐が心の底から感動的に歌う「エーデルワイス」が、巧みな伏線になっているからこそ、後程、7人の子供たちが、ハイドンの「告別交響曲」のようにステージから順に消えていくシーンと、会場内に次第に高揚していく「エーデルワイス」の感動が倍加していることも見逃せない。話は此処から反ナチ、愛国の精神が次第に高揚してくる。
これ見よがしと壁面に垂れ下がるオーストリア国旗が印象的。この作品は、ミュージカルと反戦思想を巧みに合体させている点が実に巧妙。「雪のように白い花・・咲き誇れ何時までも・・エーデルワイス・・エーデルワイス・・永遠に祖国を護っておくれ・・」その歌声は深く、鋭く、人々の心を動かす。
愛国の涙ここに有り。探照灯の光が大佐一家を照らすショットは迫真的だ。「虹を追っていけば、夢はきっと見つかる」ラストの脱国風景は『大いなる幻影』を想起して余りあり。私にとっては、ナンバー・ワンのミュージカル映画である。2005年1月7日 記