若者たち

全編を通じて何度となく流れる主題歌。私も職場や同窓会でよく唱った。佳い歌だ。でも内容は激しくも厳しい。そして凄みがある。
「人生は金ではない心だ」。長男と言い争った三男が高額紙幣を焼くショット。
「学校いけ」。叶わなかった自分の夢を託した長男が、挫ける四男に迫るシーン。等々。
「貴男の夢を実現させるには15年かかるのでしょう」。こう言って彼女に去られる長男に、当時の社会情勢を具に体験してきた私は心からの同情を禁じ得ない。
長男に扮する田中邦衛の演技は神の領域に近い。
眼を転ずれば、平成の現在と当時の家族の生き様の大要を比較し、感無量の趣を感じる。
総ては社会の変貌に左右される。然し乍らも、如何に苦しくとも、夢と希望を失ってはならぬ鉄則は変わるものではない。
現在の現実は?マークがつくケースを多々見掛ける。今の世には当時には無かった、また新しい苦難が生まれている。でも負けてはならないのだ。
原爆偏見さえあった当時を、人生の先輩たちは勝ち抜いてきたのだ。頑張れ平成の若者たちも!。と、心の中で叫びたくなるような映画だ。
【私の評価】優れた作品。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1967年(2012/6/28TV録画観賞=初見).日[監督]森川時久[撮影]宮島義男[音楽]佐藤勝[主な出演者★=好演☆=印象]★田中邦衛。橋本功。佐藤オリエ。★山本圭。松山省二。小川真由美。栗原小巻。石立鉄男。江守徹。夏圭子[上映時間]1時間27分。