座頭市と用心棒

座頭市シリーズは1962年に始まった「座頭市物語」から、2010年の「座頭市 THE LAST」(未見)まで、全27作作られている。
中には2003年に北野武が監督主演した作品もあるが、座頭市と言えば勝新太郎。彼自身の監督主演作も2本ある。
「眠狂四郎シリーズ」と共に大映を支えていた時代は繁く映画館に足を運んだ。その頃は誰も気にもしなかったある台詞が差別語となったため、長い間TV放映は無かった。
寅さんシリーズは第3,4作以外は総て山田洋次監督だが、座頭市シリーズは実に10人の監督が名を連ねて居る。
【監督名】【本数】
三隅研次 6本
安田公義 6本
田中徳三 3本
池広一夫 3本
森一生 3本
勝新太郎 2本
北野武 1本
山本薩夫 1本
岡本喜八 1本
阪本順治 1本
以上の中から再見したのが、1970年に岡本喜八監督が撮った「座頭市と用心棒」。監督は特異な反戦映画で知られる人。ちょっと意外だが、ジョン・フォード監督/黒澤明監督/用心棒と連想して、我流で何となく納得する。
三船敏郎がお得意の役で出演。勝新太郎とがっぷり取っ組んでいる。其処に絡むは大映の看板女優、若尾文子と来れば申し分なし。
第20作ともなれば、勝の仕込み杖捌きは堂に入る。「用心棒」から一寸出張して来た感ある三船の太刀を受ける技は洗練されたもの。そのコンマ何秒かの早業は「シェーン」のアラン・ラッドの銃捌きを連想した。
深みを感ずる宮川一夫の撮影も合い持って、風格宿す一級娯楽作に仕上がった。後味も爽やかである。
【私の評価】準佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1970年(2012/7/5TV録画観賞=再見).日(大映)[監督]岡本喜八[撮影]宮川一夫[音楽]伊福部昭[主な出演者★=好演☆=印象]勝新太郎。三船敏郎。若尾文子。☆米倉斉加年。岸田森。神山繁。☆嵐寛寿郎[上映時間]1時間56分。