独立愚連隊

冒頭近くのあるシーンに戦慄を覚え、ラスト近くのある場面に到りて震撼した。前者の所感のみ少し述べたい。
「軍隊では正義や良心は駄目」を信条とする一日本軍将校が、反日活動の罪で捕らえた中国人を射殺する。二人目の女性に銃口を向けた時、それを宥める荒木(佐藤允)には舌を巻いた。上手いツ!と。
音楽で言えば、クラシカルではなくて、全編ジャズ風。ちょっと崩した描写ながら、オーソドックスに描いた反戦映画と同等の思想が貫かれている。見事と思う。
「生きたい者は死ぬ。俺のような者は生きる。それが人生」と呟く荒木の台詞に、「その通りだ」とシンクロナイズしてしまう。
若かりし頃、ローカルな小劇場で生に接した南道郎が出演しているのも懐かしかった。
もう10年近くなるのではないかな?。生前の岡本喜八氏がテレビで、奥さんと共に出られたインタビュー番組を思い出す。同窓生の半分を戦争で亡くし「戦争映画を作ろう」と決意された熱き想いに敬意の念が湧いた。
本作初め「日本のいちばん長い日」や「激動の昭和史/沖縄決戦」の反面、「大誘拐 RAINBOW KIDS」や「江分利満氏の優雅な生活」のような180度変わった映画。果てまた「侍」や「座頭市と用心棒」のような時代劇も撮られている。その幅広い実績は、日本映画史の一頁に名を刻まれる。何時か未見の「肉弾」を観よう。
【私の評価】秀作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1959年(2012/7/4TV録画観賞=初見).日[監督]岡本喜八[撮影]逢沢譲[音楽]佐藤勝[主な出演者★=好演☆=印象]★佐藤允。中丸忠雄。中谷一郎。雪村いづみ。南道郎。鶴田浩二。三船敏郎[上映時間]1時間49分。