恐怖の報酬

昨年度(1954年)各界ベストテンの1~2位を争った作品。余り賞賛の声が高いので何時か来たら観ようと思っていたが、公楽小劇場で今日一日だけ公開されたのに飛びついた。満員とはこんなものではない。此処がこんなに詰まったのを見たのは初めてだ。
人気の程が偲ばれる。暑い。上着を脱ぎネクタイを外してもハンカチをしょっちゅう使った。こんな中で観る映画がまた開巻から暑苦しいメキシコ辺りの田舎町。熱帯の昆虫を子供が嬲っているところ等暑苦しさに拍車がかかる。この廃街は警察力も無く、アメリカの石油会社が在るのみ。誰も此処を出たがっているが、唯一の交通機関である飛行機代が非常に高い。そんな街を出るチャンスが訪れた。500㎞離れた石油会社の油田が火災を起こす。
其処までニトログリセリンを運ぶの仕事だ。おまけに2000弗の懸賞だ。ここからこの映画の本領が発揮される。文字通り観客をはらはらさせる。4人のうち3人が死んだ。金を受け取ったマリオも帰途に死ぬ。只物凄い映画であった。ニトログリセリンを運ぶ四人の男。超満員の館内に観衆の脂汗。29年キネマ旬報第2位。1955年6月4日鑑賞記