1969年公開の外国映画 My Best10
【1】まえがき
百花繚乱だった。アメリカン・ニューシネマが。「明日に向かって撃て!」や「イージー・ライダー」の公開は翌年だが、作られたのはこの年。
そんな中で、その代表的な名作が誕生した。何の躊躇いもなく「真夜中のカーボーイ」を第1位に据えたい。
見逃して残念だと思っているこの年の公開映画は「アポロンの地獄」が筆頭。それから苦手ジャンル乍ら「ローズマリーの赤ちゃん」ちょっと興味が湧く。機会を捉えて観てみたい。
【2】
'69年公開作 My Best10【各画像クリックで本文】
第1位
「真夜中のカーボーイ」
映画史を回顧していると、それぞれの時代に適応した映画が、生まれるべくして生まれ来たるもの。と理解出来る。これはこの時期に胎動したアメリカン・ニューシネマの傑作。ジョー(ジョン・ヴォイト)と、ラッツオ(ダスティン・ホフマン)は人生の落伍者かもしれない。だがその心根は優しい。ジョン・シュレシンジャー監督は、二人の不思議な友情を快活なテンポで画き切る。本物の涙を見せるダスティン・ホフマンは正に神技。人が死ぬ場面の多くは、目が閉じてダラリと頭が垂れる。ラッツオの死は眼が見開いた儘。人に促されてジョーはラッツオの眼を閉じる。
第2位
「チップス先生さようなら」
封建的な学園で苦闘するチップス先生の半生。キャサリンとの運命的な出逢い。愛の結実。此処に加わる師弟愛。これは人間愛の映画だ。徒に感傷に陥ることのないキャサリンの最期。「汝自信を知れ」と説いた教え子に囲まれて、老後のチッピングを演ずるピーター・オトゥール。爽やか哉。
第3位
「if もしも…」
風変わりながらも、ぞっとさせるものを骨幹に宿す。猟奇的な悪趣味を感じ嫌悪感を催したりはするけれども、それは枝葉のことと割り切りたい。拳銃所持が認められる現代の米国。まるで地震の余震の如く、忘れた頃に繰り返し起こる学園内乱射事件。それは此の映画の“もし”の実現ではないか。
第4位
「カラマーゾフの兄弟」
長大なドストエフスキーの原作を読む力量も乏しくて、映画で知り得たその断章。それとて4時間の重量感。レビューも出来ず、只降れ臥すのみ。【本文なし】
第5位
「ワイルドバンチ」
これもアメリカン・ニューシネマと言って良いだろう。「生き地獄だな」という台詞がこの映画の内容を代弁している。ヴェトナム戦争後、映画界の趨勢も急変したのは周知の通り。この西部劇にも何処かにその後遺症があるのかもしれない。
第6位
「個人教授」
自分を顧みて来れぬ個人主義の親。そんな許では、子は不道徳感な女に個人教授を求める。とでも言いたいのか。掴み難いフレデリックの二人の男の狭間で揺れる心理。そんなモヤモヤを吹き消して呉れるのが、台詞が聞こえずとも何を言っているのか解る3度に及ぶ名ショット。そして快い音楽の許、オリビエが単車をかっ飛ばすパリ市街の撮影。
第7位
「ファニー・ガール」
キラッと光るバーブラ・ストライサンド幾多のミュージカル・ナンバー。ニックに愛を告白され歌う「ピープル」等、圧倒される。絶品は妊婦スタイルでのショー場面。ニックに扮するオマー・シャリフの個性も目立つ。惜しむらくは、インターミッションを経た後半のバテ模様。先が読める。。重厚の片鱗は伺えるものの、ウィリアム・ワイラー衰えたか?と多少感ず。
第8位
「勇気ある追跡」
再びズーム・インする一旦全景俯瞰に戻ったキャメラ。扉を境に撃ち合う激しい応酬のカット・バック。ヘンリー・ハサウェイはオーソドックスな演出乍ら、大自然を始めとする雄大な撮影秀逸。長年のライハル、ゲイリー・クーパーに遅れること17年。ジョン・ウェインのオスカーに乾杯。
第9位
「ハロー・ドーリー!」
♪~あなたは見知らぬ人~でもそばにいた~そんな風に感じてたなら~踊りましょう~ハローと声を掛けよう~あなたと急接近できる~今迄の夢が現実となるのだ~ダンスをするだけで~音楽の魔法にかけられて~悩みが消えてゆく~何もかも2倍に輝く~すっかり夢心地~クルクルと廻ろう~心が舞い上がる~踊り出したらもう止まらない~123~123~。如何にもアメリカ映画らしい華やかなミュージカル。難を言えば豊富すぎる盛付けにお腹を壊さぬか心配。
第10位
「女王陛下の007」
J・ボンド役が、ショーン・コネリーからG・レーゼンビーに換わったのは、些か寂しくも、ダブリュ・オー・セブンの魅力は褪せず。女性に催眠療法をかけ世界に細菌を撒かせようとする国際的犯罪組織との対決は面白い。スキーで脱走するボンド。炸裂する手榴弾。危機を救ったトレーシーは新婚初夜に散る。後はボンドの復讐劇しかない…。【本文なし】
--- The End ---
【追記】
なお、【1969年公開の日本映画 My Best○】については、
「男はつらいよ」シリーズの、第1、2作しか観ていないので、省略。
百花繚乱だった。アメリカン・ニューシネマが。「明日に向かって撃て!」や「イージー・ライダー」の公開は翌年だが、作られたのはこの年。
そんな中で、その代表的な名作が誕生した。何の躊躇いもなく「真夜中のカーボーイ」を第1位に据えたい。
見逃して残念だと思っているこの年の公開映画は「アポロンの地獄」が筆頭。それから苦手ジャンル乍ら「ローズマリーの赤ちゃん」ちょっと興味が湧く。機会を捉えて観てみたい。
【2】
'69年公開作 My Best10【各画像クリックで本文】
第1位
「真夜中のカーボーイ」

第2位
「チップス先生さようなら」

第3位
「if もしも…」

第4位
「カラマーゾフの兄弟」

第5位
「ワイルドバンチ」

第6位
「個人教授」

第7位
「ファニー・ガール」

第8位
「勇気ある追跡」

第9位
「ハロー・ドーリー!」

第10位
「女王陛下の007」

--- The End ---
【追記】
なお、【1969年公開の日本映画 My Best○】については、
「男はつらいよ」シリーズの、第1、2作しか観ていないので、省略。