サンクタム

プロローグ。
「これは実話である」と出た。
一気に興味が深まる。ノン・フィクション系はフィクショに比べ、私の場合、集中力が倍加する。
結論は、「ポセイドン・アドベンチャー」洞窟版の呈あり。愛と恩讐に燃ゆる父子鷹像が、奥深き洞窟の中で浮き彫りにされる様が見事だった。
舞台はパプア・ニューギニア。太平洋戦争の激戦地だった島。熱帯ジャングル内の悲劇に今も胸痛む。日本軍の水陸両用戦車の残骸が出てきたのには驚愕。流石実話である。
「私は酷い人間だ」と自認するフランクを隊長とする探検隊の任務は、ジャングル内に潜む人跡未踏洞窟の調査。
完璧は難しい。が努めてネタバレせぬよう気は遣う。具体的な描写は避けよう。
突然洞窟内を襲った地下水と闘う調査チームの葛藤と悲喜劇が中核を成している。
サスペンスとしても充分見応えある内容乍ら、何と言っても非常事態や異常状態に於ける人間の在り様がテーマだろう。
フランクは公言する。「洞窟にはいると迷いが消える」と。
以後もいろいろと続ける。
「私を許してくれ」。…自己の総ての露出。
「此処から出してみせる」…確固たる不動の信念。
「そうしたことは地上へ出てから」…成すべき順序の存在。
「流れに沿って海へ出る」…冷静な科学的判断。
「電池を節約しよう」…エコの心がけ。
「食糧は数日間ある」…現状の直視と分析。
等々。
人間如何なる場合にも決して希望を捨てるな!。
蝙蝠の糞に纏わる挿話は注意力の重要性を説き秀逸。
更には決断力も。
「お前が決めろ」フランクの一言で奮起する息子ジョシュの勇気を讃えたい。
エピローグ。
「ウエス・C・スカイルズに捧げる」と出た。
少しばかり調べてみた。
その意味が分かった。
追伸
今の阪神タイガースに捧げる。
【私の評価】後味爽やかな佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→①。
2010年('11公開)(2012/7/29TV録画観賞=初見).米[監督]アリスター・グリアソン[撮影]ジュールズ・オロフリン[音楽]デヴィッド・ハーンシュフェルダー[主な出演者★=好演☆=印象]★リチャード・ロクスバーグ。リース・ウェイクフィールド。ヨアン・グリフィス。アリス・パーキンソン。ダニエル・ワイリー[原題]SANCTUM[上映時間]1時間49分。