キャバレー
'72公開(米)[監督]ボブ・フォシー[主な出演者]ライザ・ミネリ。マイケル・ヨーク。ヘルムート・グリーム。

この作品はミュージカルと呼ぶべきだろうか?と、ふと思った。寧ろ反戦基調の恋愛映画ではないだろうか?とも。
ただ主人公がキャバレーの歌い手。「♪~私の愛するあなた」や「♪~お金が世界を廻してる」ほか、多くのナンバーが全編を圧倒する。
歌手の名は、サリー。扮するは、ライザ・ミネリ。その豊かな個性に圧倒された訳は後で分かった。
彼女は、あの「オズの魔法使い」で一世を風靡したジュディ・ガーランドの娘さんだった。
そういえば、この映画で熱唱する「♪~人生はキャバレー」からは、かって彼女の母が「スタア誕生」で絶唱した「♪~スワニー」を彷彿させる。
また、父親がヴィンセント・ミネリ監督という血の良さもある。その父が撮ったミュージカルの名作「巴里のアメリカ人」や「ブリガドーン」も浮かんで来た。
やはり「キャバレー」はミュージカルと呼ぶべきであろう。
だが冒頭で述べた疑問を全面的に否定はしたくない。映画は1931年のベルリンで始まる。あのヒトラーの足音が、さながら、ラヴェル作曲の「ボレロ」の如く、次第に高揚して来る時代だった。
一ナチ党員が歌う「♪~我等の天下」に、ぽつりぽつりと和して行く人々。
その人数は次第に増えてゆく。やがて全員起立。大合唱に変わるシークェンスには圧倒されそうになる。
その影で「私はユダヤ人…」のナタリアの哀しさよ。
そんな彼女と対照的なサリーだった。ブライアンに差し伸べるしなやかな指。マニキュアを施したその色は、いつもの緑ではなく、青だった。
かって、剥き出しのシガレット・ケースをブライアンに差し伸べたマクシミリアン・フォン・ヒューナ男爵が、青色のシャツやスーツも与えた伏線が甦る見事さよ。
「多分、あなたの子…」。事ある毎によく煙草を蒸かすサリーは続ける。「私は自己中心的で、無神経で、、」。
本当に、人生はキャバレーかもしれない。

この作品はミュージカルと呼ぶべきだろうか?と、ふと思った。寧ろ反戦基調の恋愛映画ではないだろうか?とも。
ただ主人公がキャバレーの歌い手。「♪~私の愛するあなた」や「♪~お金が世界を廻してる」ほか、多くのナンバーが全編を圧倒する。
歌手の名は、サリー。扮するは、ライザ・ミネリ。その豊かな個性に圧倒された訳は後で分かった。
彼女は、あの「オズの魔法使い」で一世を風靡したジュディ・ガーランドの娘さんだった。
そういえば、この映画で熱唱する「♪~人生はキャバレー」からは、かって彼女の母が「スタア誕生」で絶唱した「♪~スワニー」を彷彿させる。
また、父親がヴィンセント・ミネリ監督という血の良さもある。その父が撮ったミュージカルの名作「巴里のアメリカ人」や「ブリガドーン」も浮かんで来た。
やはり「キャバレー」はミュージカルと呼ぶべきであろう。
だが冒頭で述べた疑問を全面的に否定はしたくない。映画は1931年のベルリンで始まる。あのヒトラーの足音が、さながら、ラヴェル作曲の「ボレロ」の如く、次第に高揚して来る時代だった。
一ナチ党員が歌う「♪~我等の天下」に、ぽつりぽつりと和して行く人々。
その人数は次第に増えてゆく。やがて全員起立。大合唱に変わるシークェンスには圧倒されそうになる。
その影で「私はユダヤ人…」のナタリアの哀しさよ。
そんな彼女と対照的なサリーだった。ブライアンに差し伸べるしなやかな指。マニキュアを施したその色は、いつもの緑ではなく、青だった。
かって、剥き出しのシガレット・ケースをブライアンに差し伸べたマクシミリアン・フォン・ヒューナ男爵が、青色のシャツやスーツも与えた伏線が甦る見事さよ。
「多分、あなたの子…」。事ある毎によく煙草を蒸かすサリーは続ける。「私は自己中心的で、無神経で、、」。
本当に、人生はキャバレーかもしれない。