アルゴ 2012年.米

此の映画のテーマは“信頼”ではないだろうか?。私はそれを6人の大使館職員の救出任務を帯びたCIAのトニーに見出す。
彼は6人に自己のプライバシーを隠さない。また6人からの「自信はあるか?」の質問に対し、必ずしも全面的な肯定はしていない(と私は採った)。このような事柄から7人の一体感が形成され行く様が私には麗しく映った。
そんな脱出劇が、架空の製作中映画「アルゴ」を介して実行される様が、奇抜性に富み、リアル且つスリリングに展開されて行く。
それはまるで見ている私自身が、6人の中の誰かになっているかのような錯覚さえ感じるほど。だからこそラスト・シークェンスに於いて、あの感無量な味わいを得ることが出来たのだろう。
それも米国とイランの1979年の実話に基づくが故に、迫真性が倍加している。それだけに昨今の両国の歩み寄り姿勢が嬉しい。
この様な事件は二度と起こって欲しくないもの。それを実現するのは相互の“信頼”関係ではあるまいか。