アーティスト 2011年('12公開).仏

この映画も事前知識は無かった。昨日投稿したサイレント映画「大人の見る絵本 生れてはみたけれど」は1932年の映画だけれども、この映画の背景は1929年。まだ3年も古い。当然サイレントになっていた。(厳密にはサイレントに近い)。但し2012年の公開映画であることに注目が行く。何れ途中から声が出るだろうと思いつつ見ていても一向に音は出ず。わざわざサイレントにした訳は何?。と考えつつ鑑賞してゆく。
冒頭の拷問場面にドキッ。映画の場面と分かりホッ。コンサート場面も当然サイレント。勿論モノクロ映画だ。「ドイツの陰謀」撮影シーンが映る。「テイク4」。「テイク○○」。…実際そっくりの演出をするのは、ルーズベルト大統領と、ジョン・ウェインを足して2で割ったような監督。
主役級二人のキスに頭を垂れて見ぬふりをする怪演など、犬の仕草が傑作に見えるのもサイレント効果だろう。と思っていたら、突然、目覚まし時計の音(最初は電話と思った)。踊り子達の笑い声。落下物のドカーン。に夢破る。やはり思った通りだった。銃音。BANG。パンク。は傑作。
適切な言葉を音楽が語っている。ショウウィンドウのスーツに写る自分の顔。声は無くても分かる言葉。思い出すルネ・クレールの「巴里の屋根の下」の名シーン。この映画もサイレントを愛しているのだ。
“過去の男の声なんか誰も聞かないよ”と字幕。“名案があるわ”と字幕。フランス映画なのに字幕は英語。サイレントの謎と共に、これもクェッション。
従ってこれの解明と解釈については今述べられぬ。目下、フランス映画に関する手許の書籍を紐解いたりしているが、自分なりに解ってきた。機会があれば項を改めて投稿したいとも思うが、さてどうなることやら。