散り行く花 1919年(米)

大自然に於ける動植物の営みを見詰めた映像が好きだ。殊に我が子に愛情を注ぐ動物類の姿に素朴な感銘を受ける。その一方で、親が我が子を虐待する事件が絶えぬのを嘆く。
これは獅子が我が子を谷に突き落とす行為とは異質のものであるが故に。昔はこんな事件は無かったと思いつつ、何時も哀しいニュースに耳を傾ける昨今である。
ところが、あに図らんや、1919年に撮られたサイレント映画で現代と同じ事を発見し、複雑な心境に陥る。
昔から、継子虐めはあった。が、これは実の我が子(娘)ではないのかと。
残酷非道な父親に怒りを覚える次第。尤も此の映画はそんな鷹純な表面的な出来事を描いているのではなく、この奥に潜む問題提起を感じたりせぬ事もないが。
余りにもその残酷非道な描写が多すぎるが故に、ついつい感情に走ってしまいはしないだろうか?。
多すぎると云えば、ボクシング場面も多く、長い。ただこの場面と、救いの神の中国青年の住処とのクロスカッティングは流石、映画の父、D・W・グリフィス監督。
他にもクローズアップ等も駆使。洗練された映画技法を、90年を超える以前に確立しているのには驚く。映画を新しい芸術と認めさせた功績は多大であると思う。