屋根の上のバイオリン弾き

広く世界的に有名なこのミュージカル。今更改めて書く術はない。が、昨日観た「グラン・ブルー(完全版)デジタル・レストア・バージョン」より更に10分長い此の映画版を観たくなった。
アナテフカ村の夜明け、夕暮れの美しいこと!。
一転して、恐らく雨漏りがするであろう村の家々の屋根瓦。この対比が、厳しい現実を象徴して余りある。
そんな屋根の上で、危なげな足取りで、バイオリン弾きは、弦を爪弾く。
そんな中で、「しきたり…調和」~♪伝統の歌で、アナテフカ愛を主張する帽子を脱がぬテヴィエ。正に全編を圧倒する。

「貧乏は恥でもない」「名誉でもない」~仕立屋のモーテルと長女ツァイテルのエピソードは微笑ましい。

「パーチック今夜は泊まれ」と歓待した筈が、次女ホーデルと…になろうとは。
三女ハーバと、ロシアの若者フヨードカの伏線も敷かれるが、

前半は長女の結婚式「♪サンライズ・サンセット」で盛り上がり、ユダヤ人迫害シーンを経て、インターミッションとなる。

後半は、次女、三女を巡る労苦と同時に、少々口喧しい妻ゴールデとの狭間にも立つテヴィエを、トボルが素晴らしい演技で披露する。
そして話は一挙にユダヤ民族の哀しい宿命に雪崩れ込んでいく。
全編に鏤められた10曲(と思う)のナンバー。
アイザック・スターンのヴァイオリン演奏。
ジェローム・ロビンス/ロバート・ローレンスの振り付け。
等々。
威風堂々たるミュージカルである。
と書いて、ハタッ!と思い出した。私がかって選んだMyミュージカルBest10に確か無かったと。何故だろう。
思うに、これは、ミュージカルとは思えぬ、優れたテーマと内容に満ちている。多分それが、そうさせたのであろう。
いゃ~、全然長く感じなかった。内容が素晴らしいからと同時に、インターミッション効果を再認識した次第である。
日本でも森繁久弥さんが演じられた舞台を見たかったなぁ。
【私の評価】何処から眺めても堂々たる秀作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→①。
1971年(2011/9/30TV録画観賞=再見).米(MGM/UA)[監督]ノーマン・ジュイソン[撮影]オズワルド・モリス[音楽]ジョン・ウィリアムズ[主な出演者★=好演☆=印象]★トボル。マーマ・クレイン。ロサセリンド・ハリス。ミシェル・マーシュ。☆レオナルド・フレイ。マイケル・グレイザー。レイモンド・ラヴロック。[原題]FIDDLER ON THE ROOF[上映時間]2時間59分。