大人は判ってくれない

「本当のことを言っても信じて貰えないので嘘を憑くのだ」アントワーヌ少年の言葉が、グッサリと突き刺さる。
全編、子供の眼から眺めた大人の世界である。古今東西の状況を見回して見ても、大人として反省の余地を残させる作品と思う。
現在も、児童虐待が頻発する中で、此の映画とは逆に、子供を甘やかし、可愛がり過ぎる親も見受ける。世相と、価値観の変遷を改めて思う。
アントワーヌ少年の両親の人間関係も歪みを生じている。このことも曳いては、アントワーヌが少年審判所を脱走する迄に至る源流なのだ。
大人同士間の不信。そのことも、子供対大人の課題と同時に、いろいろと熟慮、反省すべき課題を喚起させるような作品だった。
映画史に有名なヌーベル・ヴァーグの旗頭として知られるフランソワ・トリュフォー監督。自身の体験を反映させた作品と漏れ聞く。
私と同年生まれ乍ら、世を去らてから27年ぐらいと思う。天才は夭逝し、凡才は細々と付録の人生を歩む。これも人生。
【私の評価】意欲ある佳作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→③。
1959年(60公開)(2011/10/2TV放映鑑賞=初見).仏(東和)[監督]フランソワ・トリュフォー[撮影]アンリ・ドカエ[音楽]ジャン・コンスタンタン[主な出演者★=好演☆=印象]☆ジャン・ピエール・レオ。クレール・モーリエ。アルベール・レミ。パトリック・オーフェイ[原題]LES QUATRE CENTS COUPS[上映時間]1時間37分。