抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-

フォンテーヌ中尉は1階から3階独房に移される。それでも諦めぬ脱獄計画。楠めたスプーンで作るナイフ。細心の神経を尖らせ、木製扉を削る毎夜。スプーンが傷めば又作る。突き刺さるようなリアル感。
何日繰り返されたことだろう。階段の上り下り。用便の廃棄。洗顔時間に「喋るな!」の合間を縫って、ホレシニらと交わす会話。白髪の囚人テリー。「最早や要らなくなった」と、毛布を呉れるブラシェの哀しさよ。
その毛布で作る脱出用の綱。次第に増える応援者の描写が実に自然だ。

それでも獄内で銃音が轟く日は、観ている私さえ身震いする。遂にフォンテーヌにも訪れるゲシュタボ本部からの銃殺刑宣告。
最早や残された時間は無かった。同室に投獄されたジョストが救いの神となった。一人では脱獄は不能だったから。
それでも止まらぬ震え。躊躇い。夜明けを告げる4時の鐘。フェイド・アウト。
暗闇の画面に流れるモーツァルトのミサ曲ハ短調キリエの断章。
1943年ナチスドイツ占領下のリヨン。レジスタンスのフランス人が収容されていた監獄。
反戦と、自由への渇望が、手に汗握らせた1時間40分であった。
【私の評価】これぞ秀作。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→②。
1956年(57公開)(2011/10/4観賞=初見)仏.[監督]ロベール・ブレッソン[撮影]レオンス=アンリ・ビュレル[主な出演者★=好演☆=印象]★フランソワ・ルテリエ。☆シャルル・ルクランシュ。ロジェ・トレルヌ。ジャック・エルト。モーリス・ビーアブロック[原題]UN CONDAMNE A MORT S'EST ECHAPPE OU LE VENT SOUFFLE OU IL VEUT[上映時間]1時間40分。