日蓮

以前「パッション」の鑑賞記に「キリスト関連映画史上最大の残酷シーンを通じて、人の愚かさを説くのが目的だったのかもしれない。それはともあれ後味が非常に悪い映画」と結んだが「キリスト教徒にとっては素晴らしい映画」とのコメントを頂戴した事がある。
言う迄もなく信仰は自由。そのコメントは尊重したい。が一党一派に偏した政治や宗教のブログは嫌いな私は、あくまでも映画そのものを論じたい。
先ず、大映作品の『釈迦』と同じく総花的だ。ダイジェスト・タッチで、短いショットが忙し気。これが重厚味を欠いた。
次に、日蓮は「釈迦の教えを真に次ぐものこそ法華経にして唯一無二」と北条時宗に迫る。そのあまりにも自己中心で排他的な雰囲気に少々嫌気が生じた。
ならば映画『親鸞、白い道』で「同じ命を平等に生きている」と説く親鸞は釈迦の教えを次いでないのか?。
また、映画『禅、ZEN』で、北条時頼に水面に映る月を斬らせる道元は如何?。
との素朴な疑問が、映画のみを論じたい私には生じた。
此処は「他の仏教と仲良くなれないのか?」と日輪に迫る時宗に共鳴したい。
終わりに、同じような内容ながらも、どちらかと言えばスペクタル本位の『日蓮と蒙古大襲来』よりは、レベルは高いと思った。
【私の評価】中の中。
【私の好み度(①好む。②好む方。③普通。④嫌な方。⑤嫌)】→④。
1979年(2012/1/2TV録画観賞=初見).日(松竹)[監督]中村登[撮影]竹村博[音楽]芥川也寸志[主な出演者★=好演☆=印象]★萬屋錦之介。☆田村高廣。☆岸田今日子。丹波哲郎。中村嘉葎雄。江原真二。郎。☆松坂慶子。☆大滝秀治。☆松方弘樹[上映時間]2時間23分。